東御市ポップアップランチ

東御市の『食』をアピール。地方と事業者を繋ぐnocsの功績

2022年から始動し始めた『team.nocs』
代表・小川の元には東御市の地方創生事業の打診があった。

全国各地で地方創生事業を行う「株式会社つぎと」は東御・海野宿で古民家再生事業を行うため、観光局や、地元の地域おこし協力隊に向けたイベントとして、team.nocsに白羽の矢がたった。

今回は長野県東御市のワイン&ビアミュージアムを内設する温泉施設「湯楽里舘(ゆらりかん)」にて、32名のお客様を招き東御の食材・ワインを活かしたイベントを行った。

参加メンバーは代表・小川シェフを中心に、出張料理人・福崎、細井と、ソムリエの園部。サポートメンバーにはソムリエが2人と、総勢7人のチーム。

●東御市人口減の現在

長野県東御市は現在人口約29000人で世帯は12000世帯ほど。2005年の人口と比較をすると、約31000人をピークに年々減少傾向にあり、2018 年に発表された社人研の推計では、人口はさらに減少し、2045 年には 23,781 人になると予測されている。東御市地域づくり支援課、信州とうみ観光協会では移住者や観光客増加のための活動を行なっている。

●東御食材のフルコース

●東御食材のフルコース
今回、主催の「株式会社つぎと」と共に、信州とうみ観光協会、合同会社まるごとの協力のもと食事を提供。
食事会の前には東御・海野宿の視察を行い、湯楽里舘のセミナースペースへ着席。

今回の食事内容はこちら

・アミューズ盛り合わせ

こちらのアミューズには東御を代表する食材達をピックアップし、素材自体の味わいをと、それぞれの食材の相性を楽しんでもらうためにシンプルに提供。

生産量が日本一の、身が大きくコクのある「シナノクルミ」をキャラメリゼに、コンクールで世界一を獲得した『アトリエ・ド・フロマージュ』のブルーチーズ。
東御市産のブドウを使用した『glasses farm』のプルプルとした食感の完熟ブドウジャム、八重原の台地の『ハモンヤエハラ』が作る生ハムをそれぞれ提供。

・カブのピューレで覆った信州サーモンのタルタル仕立て わさびのアクセント
料理の主役となるのはこの「カブ」。東御市和地区の「アグロノーム」は有機栽培にこだわり育てる黄カブは水分が少ない分風味が強い。このカブをピューレにし、信州サーモンのマリネ、安曇野のわさびの風味と共に召し上がっていただいた。

・信州黄金シャモと豆のガルビュールスープ
『とや原ファーム』が育てる信州黄金シャモは2種類の在来種を掛け合わせて作られた、信州生まれの地鶏。脂肪分が少なく、うまみ成分が多い事が特徴で、モモとムネはそれぞれ調理法を変えて用意。モモはコンフィで火を入れ 、皮目を香ばしく焼き上げる。胸肉は低温でしっとりと火を入れる。鶏ガラも余すことなく使うために、コンソメにすると非常に香りが良く力強いスープに。
スープには「道の駅・雷電くるみの里」で仕入れた東御産のふっくらとした「とら豆」と「花豆」を使用し、「ガルビュール」というフランス伝統的なスープに仕立てた。

・信州プレミアム牛のロースト 東御野菜の付け合わせ カーブ・ハタノの赤ワインソース
『牧舎みねむら』で育てられる信州峯村牛。年間70頭しか卸されない希少な牛のイチボの部位をローストに。付け合わせにも東御市産のビーツと菊芋、くるみを使用。ソースに使ったのは、同じく東御市のワイナリー・Cave Hatanoのシラーを贅沢に使用し、濃厚なソースに仕立てた。

・シナノゴールドのクレープシュゼット
東御市和(かのう)でりんご農園を運営している『飯島農園』のシナノゴールドは黄色の皮とシャキッとした食感が特徴。クレープには築100年の古民家で農家民泊をしている『おみやど』の「ゆきちから」という品種の小麦粉を使い、りんごのキャラメリゼにしたものとカスタードで包む。
りんごのブランデー「カルヴァドス」を聞かせたソースで「クレープシュゼット」の仕立てに。

●急増する日本ワインの名醸地・東御

日本のワイナリーは現在急増中にあり、「酒類製造業及び酒類卸売業の概況」によると、2016年のワイナリー数は280軒だった
ところから、2021年時点では全国のワイナリー数は413場まど増えている。
現在もこのワイン造りをする方は増えており、2023年中には500軒を超えるのでは無いかと推測されている。

その内、長野県のワイナリー数は71軒にのぼり、「千曲川ワインバレー」に内包される東御市では13軒のワイナリーが点在する。
これは、降雨量の多い日本の中で、傾斜地による水捌けの良さや山に囲まれたことにより降雨量が少なくなっていること、高標高による昼と夜の気温差が大きくブドウに必要な糖分を生み出す事など、様々な要因によって長野県ではワイン用ブドウの栽培に適しているとされている。

そういった要因から現在東御市で生み出されているワイン達は非常に高品質で、中には世界のステージで活躍するワイン達も。

東御市を中心とした「千曲川ワインバレー東地区」は、8市町村が合同で広域ワイン特区を構成。
本来、ワイン造りを行うには年間6キロリットル以上の製造量を見込んでいる必要があるのですが、ワイン特区ではこの基準が2キロリットルに引き下げられるか、適用外になります。また、同地域内のブドウを使用することが条件になっています。

今回のイベントではその中から4本のワインをピックアップし、お客様へ提供した。

◆ワインリスト

・【ドメーヌ・ナカジマ】ペティヤン・ロゼ 2022
2010年からブドウ栽培を開始した中島豊さんが家族経営で運営するドメーヌ・ナカジマ。農薬や化学肥料を一切使わない栽培と電気を極力使わず天然酵母で醸造し、無濾過、無清澄のワイン造りをされている。
ワインは、巨峰の名産地である東御市産のブドウを活かした微発泡タイプ。水分の多い生食用のブドウを活かすために陰干しにして水分を抜き、澱と共に瓶詰めした、柔らかい甘味と奥深さが感じさせられるワイン。

・【ヴィラデストワイナリー】ソーヴィニヨン ・ ブラン 2020
エッセイスト・画家として有名な玉村豊男氏が2003年10月に開設した、小規模生産のワイナリー(農園は1991年から)。ワインは自社畑をはじめ、周辺地域で生産された原料を100%使用。醸造面では最新の知見と昔ながらの手作りの製法を合わせブドウの持つ個性を最大限に引き出し、風土を反映したワイン造りを目指しているとのこと。
少雨で冷涼な気候により、柑橘やグレープフルーツ、ハーブなどに例えられるソーヴィニョンブランらしい華やかな香りと、フレッシュな酸が特徴の辛口白ワイン。

・【はすみふぁーむ&ワイナリー】シャルドネ2020
ワイン造りを行う蓮見さんは東御に2005年から移り住み、2010年にはすみファームを設立。「日本一小さなワイナリーが世界を目指す」をスローガンにされている。
自社畑産シャルドネ100%使用しオーク樽を使用。キリッとした酸とミネラル感を感じる余韻が特徴。長野県らしさを味わうことがができるはすみふぁーむのロングセラーワイン。

・【アルカンヴィーニュ】ジュニベール カベルネ ・ メルロー 2019
アルカンヴィーニュは国内で初めての民間ワインアカデミー。
「自分で栽培したブドウから自分でワインを造りたいと願う新規就農者も、近くに収穫したブドウを醸造するワイナリーがなければメーカーに売り渡すことになります。その結果、いつまでも契約農家に止まらざるを得ず、所期の目的を果たせない者も出てきます。「アルカンヴィーニュ」ワイナリーの建設は、彼らが生産するワインぶどうの流出を防ぐことも大きな目的のひとつです」(ワイナリーより)
「ジュニベール」はフランス語で若木を表す。メルローを主体にカベルネ・ソーヴィニヨンがブレンドされたミディアムボディ。9ヶ月樽熟成されてリリースした赤ワイン。

●参加者の声

会食を終え、会食後には東御市市長・花岡利夫(はなおか としお)氏、東御市議会議長・長越修一(ながこし しゅういち)氏、長野県議会議員・石和 大(いさわ だい)氏の順に御挨拶と共に、東御の食の可能性と今後の東御市の発展を誓うメッセージが掲げられた。

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今回の参加者は東御市の行政関係者や事業者のみならず、各地で地方を盛り上げて行く活動をされている方々も多くいた。
nocsとして初めて行ったイベントではあったが、錚々たる面々に食事を届けたことは、今後も大きな波紋を生み出していけることだろう。

今後も行政や事業者とこまめな連携を続けていく事でnocsとしての幅は更に広がり、「飲食業界の変革」へと繋がっていくことだろう。

次の日はワイナリーに訪問。改めて投稿します。

記事 : 園部圭祐

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